キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書について書く。
現金及び現金同等物の範囲
現金同等物は、「容易に換金可能であり、かつ、価値の変動に僅少なリスクしか負わない短期投資」とされている。(実務指針2項)
もちろんその範囲は会社が具体的に決め、会計方針として注記する必要があるが、具体例として以下を挙げている。
範囲に入る
・取得日から満期日又は償還日までの期間が3か月以内の短期投資である定期預金
(満期日までの残りの期間が3ヶ月という意味ではない。つまり満期日まで1年で取得した定期預金は、10ヶ月(残り2ヶ月)経っても現金同等物の範囲に入らない。)
・コマーシャル・ペーパー
・売戻し条件付現先
範囲に入らない
・市場性のある株式等
重要な非資金取引
実務指針において、「「キャッシュ・フロー計算 書」の目的から企業の財政状態には重要な影響を与えるがキャッシュ・フローを伴わない 取引のうち、翌会計期間以降のキャッシュ・フローに重要な影響を与える取引」と定義されている。(実務指針24項)
例示として、
1 社債の償還と引換えによる新株予約権付社債に付された新株予約権の行使
2 貸借対照表に計上されたリース資産の取得
3 株式の発行等による資産の取得又は合併
4 現物出資による株式の取得又は資産の交換
が挙げられている。
なお、2 については新しいリース会計基準が適用されると、使用権資産の取得、と改正予定。
(ここは例えば倉庫業を営んでいる会社とかは論点になるかもしれない。)
これは、現時点でキャッシュの流れに影響はないけど、株式とか新株予約権とかを発行すると将来配当払わんとあかんかったり、リースは月々払うことが確定したりするから(そもそもリースは借入の側面もあるが、キャッシュインが表現されない。)、そういうのは先に株主に言っておこうぜってのが趣旨である。
なお、他社事例を見ると、上記の例示以外にも自己株式の消却が注記されていた。
これは、自己株式を取得した以降、保持の維持以外に処分や消却が行動のオプションとして考えられるが、処分は配当の支払い、消却は配当の支払いの回避としての効果がある。
つまり、自己株式の消却はキャッシュインとアウトが無いため、注記されるべき対象と考えられる。
関連会社及び非連結子会社からの配当金
実務指針では、「持分法適用会社からの配当金の受取額は、利息及び配当金に係るキャッシュ・フローの 表示区分について選択した方法に従い、原則として、「営業活動によるキャッシュ・フ ロー」の区分又は「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分のいずれかに記載する。」とされている。(実務指針23項)
ほとんどの会社は、利息及び配当金に係るキャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローに記載されていると思う。そのため、精算表上では、連結修正仕訳で減額された投資額を調整することにより、小計以下に含まれるように表現する必要がある。
(連結上、持分法適用会社からの受取配当金は税引前当期純利益に含まれない。)
試験受けてきた (結果報告)
この前大学院の医療経済学試験を受けてきた。先日合格発表があったので、その結果を報告する。
結果は、、
合格していた💮
正直なところ、受験してから通過しないかもしれないな〜とずっと思っていたが、ホントに良かった。
実は担当クライアントで不正が発生し、その対応で7月末まで学習の時間が思い通りに取れなかったことが受ける前の不安要素としてモヤモヤしていた。
実際に受験した際も、解答すべき大問3つのうち1問は最後まで解答できなかったり(受験した大学院は大問6問のうち3つを選択する形だった)、面接の回答が1つうまく回答できなかったりと、十分に力を発揮できなかったと思っていたので、かなり安心した。
何はともあれ、人生の道がまた少し開いた気がする。
あとは大学院に行っている時にどうやってお金を稼ぐかを決定する必要がある。もしもうまくいかなければ大学院を諦めないといけない。
少しずつ前へ。
消費税
消費税で監査上検討した論点についてまとめる。
こちらについても徐々に項目を加筆していく。
仕入税額控除されなかった一部の仮払消費税(控除対象外消費税額等)
※資産に係るものを除く。
商品Aを220円で仕入を行い、330円で売り上げたとする。課税事業者であることを前提とすると、以下の仕訳となる。
売上に係る仕訳
現預金 330 / 売上 300
仮受消費税 30
仕入に係る仕訳
仕入 200 / 現預金 220
仮払消費税 20
しかしながら、仮払消費税は納付する消費税をそのまま減らすことはできないことが多い。(仮受消費税-仮払消費税=未払消費税とならない)
それは、その課税期間中の課税売上高が5億円超または課税売上割合が95%未満の時には、その課税期間の仕入控除税額は、課税売上げに対応する部分の金額になるからである。
そのため、控除できなかった部分をaとすると、以下の仕訳になる。
仮受消費税 30 / 仮払消費税 20
未払消費税 10
租税公課 a / 未払消費税 a
このaの仕訳の意味としては、法人税法上、控除対象外消費税も含め全額をその期の損金として計上することが求められていることによる。租税公課を通じて損金参入していることになる。(代わりに消費税の支払額が増加している)
※交際費にかかる部分については別の取り決めがある。
よく忘れる処理のようで、気をつけるようにしたい。
以上
固定資産
固定資産で仕事上、論点になったところ及び深く検討した項目を列挙する。なお、徐々に項目を増やしていく。
間違いがあれば一報ほしい。
消費税の計上タイミング
機械などを受け取ったタイミングで以下の仕訳を切るのは、違和感がないと思う。
(機械) 100 / (現預金)110
(仮払消費税)10
一方、建設仮勘定の場合はどうか。
消費税は、物の引き渡しや役務の提供を受けた日が含まれる課税期間に仕入税額控除を行うことが原則であり、基本的には以下の仕訳が求められる。
請求書①入手時
(建設仮勘定) 50 / (現預金)55
(仮払消費税) 5
請求書②入手時
(建設仮勘定) 50 / (現預金)55
(仮払消費税) 5
振替時
(建物) 100 / (建設仮勘定)100
一方、消費税の特例で、振替時にまとめて課税仕入れの処理を行うことも認められる。
(会計システムの関係上、こちらを選ぶ会社が多いとのこと。おそらく会社負担を考え国税庁側が寄り添ったのだと考える)
請求書①入手時
(建設仮勘定) 55 / (現預金)55
請求書②入手時
(建設仮勘定) 55 / (現預金)55
振替時
(建物) 100 / (建設仮勘定)110
(仮払消費税) 10
参照元は以下のサイト。
以上。
会計士としてのキャリア
今回は、今現在私が周りから示された選択肢を挙げてみる。
会計士は多様なキャリアがあると言うのは本当だと思う。あくまで、私の場合はであるが。私は運にも恵まれたなと思う。
なお、諸般の事情により、どの道に進もうとしているかの名言は避ける。
選択肢① 監査法人
これは私が退職を伝えた時に、強烈に引き留められたから選択肢として挙げている。私が退職、そして非常勤への転向の希望を伝えると、「パートナーになってほしいから残って欲しい」とかなり上の人から言われた。
当時かなりの人材不足で、これ以上居なくなっては仕事が回らなくなると考えてのことだとは思う。決して私の能力云々ということではないはず。
なお、このブログを書いている時は事情があって監査法人に留まっている。
選択肢② 中小税理士法人
人脈を広げる過程で、この選択肢も提案頂いた。一般企業の税務だけでなく、医療法人のコンサルも広げていきたいと考えている法人のようで、私の経験はその方針にピッタリだったのだと思う。
選択肢③ クライアントの経理部
これは結構あるあるだと思うが、会計監査に行ってるクライアントに経理部員として働かないかとかなり誘われた。リップサービスのレベルではなく、メインで言ってるクライアントのうち、半分以上は陰でお誘い頂いた。
選択肢④ IPO準備会社(東京)
経営企画室または経理部部長のポジション。上場後はCFOになってほしいと。クライアントのご担当者が退職された際、お誘い頂いた。条件面はかなり優遇されていると思う。
個人的にではあるが、事業会社での経験もあって良いなと感じている。
選択肢④ IPO準備会社(京都)
製薬ベンチャーのCFOとして。あまり上場する気はないらしく報酬は低めとのこと。
以上が思いつく限りの選択肢である。
CFOとかいきなりできるかどうか疑問はあるが、図書を見ながらであれば可能と信じる。今までも独学でそうしてきたではないか。
かなり多様なキャリアを描けると思う。
頑張って取得する資格としては悪くない。
さて、私はどうするか。
資産除去債務
資産除去債務についてである。初めて短答を受けた時に意味不明で、最近改正があって自分は知らない内容だな🤭って思ったことが感慨深い。(単に学習不足なだけ)
資産除去債務の美しさ
まずはここから語らせてほしい。
資産除去債務とは何なのか、ということだが、将来の費用の発生が相当程度起こることが認められる際に、一時点ではなく期間按分していこうということだ。
例えば、オフィスとかを借りてる時に原状回復義務があり、それに100円かかると見込まれる場合、以下の仕訳を切ると思う。
※簡略化のため将来キャッシュフローを現在価値に直さない。
固定資産(建物付属設備) 100 / 資産除去債務 100
上記の処理により、①計上した固定資産の償却を通じて見積り費用を期間按分できる点、②引当金計上のように負債計上している点である。この2点を同時に達成している点が、私が美しいと思う理由である。
具体的には、10年後にオフィスから退去する必要がある場合(あるいは退去が見込まれる場合)、10年間で減価償却する必要がある。(①)
↑10年間で積み重なっていく。
また、10年後に原状回復義務に80円かかった(20円分お得)とすれば、以下の仕訳となる。(資産除去債務の精算 ②)
資産除去債務 100 / 現預金 80
履行差額 20
これにて費用の期間按分及び引当金計上のような形で保守主義を達したことになる。
敷金を払っている時
敷金を払っている時は、実務上の負担を考慮して、以下の仕訳を計上する必要はないよって定めがある。
※敷金を100払っており、費用の発生が80見込まれる場合。5年間が会社の同様の不動産の平均滞在期間。履行差額なし。
必要はないよって仕訳
敷金 100 / 現金 100
建物 80 / 資産除去債務 80
・・・
資産除去債務 80 / 敷金100
現金 20
逆にこんな簡単で良いよって仕訳
敷金 100 / 現金 100
減価償却費 16 / 敷金 16
・・・
現金 20 / 敷金 20
結果的には一緒なんやけど、仕訳の計上は少なくなる気がしますね。
以上。
試験受けてきた
一年ぶりの投稿である。
もう会計監査も自分の中でひと段落し、医療経済学の大学院の試験を受けてきた。
自分が置かれている状況を整理するためにも、諸々書きたい。
会計監査
それほど長い間この業界にいるわけではないが、ある程度は会計について吸収できたと思う。今後私が会計の世界でおマンマを食べるのであれば、あとは度胸とか自信とか、そういった類のモノが要求される。テクニカルな事項はその都度学んでいけばよい。
「詰まるところ会計はノリ」と把握できただけでもこの数年は意味があった。
多様な経験をさせてもらったことに感謝したいが、もう十分だと思う。
疫学
さて、今後は、可能であれば大学院で人脈を形成し、社会疫学や医療経済学の分野で一石を投じたい。
高齢化社会が加速する日本はどうなるのかと、考えたことはあるだろうか。
一般市民から分かりにくいが、このままでは日本の国民皆保険は破綻する。(医療費は大部分は社会保険料から徴収されていることがこの事実を分かりにくくしているが。)薬や費用対効果の観点から医療費を軽減できるのではないか、というのが私の考え。
それを形にすべく大学院に行こうと思っている。
この前の試験は受かっているだろうか。
会計士試験の時のような情熱はなかったが、それでもできる限り努力はした。もう年齢とともに情熱を持って行動しにくくなるのかもしれない。焦る。
受かっていれば大学院に通う。
IPO準備会社
受かっていなければ東京か。知人からIPO準備会社の経営企画部もしくは経理部長で東京に来ないかと話をもらっている。親も連れて行くことになるが。。
提示された条件は破格なので飛び込もうかと思っている。というかそれくらいしないと自分の人生の目標には届かないと思う。
大学院のことも理解してくれた。その間は業務委託契約ということで対応してくれるとのこと。
まずは大学院の試験結果を見てからではあるが。。
私の人生は、いつになっても落ち着かないらしい。
覚悟②
今回も医療人として働く中で得た経験を書く。
これは若手に読んでほしいというわけではなく、当時の状況から、「自分でバリューを生み出してお金をもらう」という当たり前のことを今後の人生で意識しようと私が思った思い出だ。
(あくまで自分が感じたことがメインで、事象が倫理的に正しいかどうかは触れない)
薬剤師のお仕事
これは一般的に認識されていないが、薬剤師の仕事は処方箋に書かれている薬を出すだけではない。その状況でその患者がその薬を飲むことに問題はないかを判断する必要がある。(これが一般社会で認識されていないのは、完成した物しか患者に提供しないからだと思う。)
ここでその薬の使用に疑義があると、Drに照会し、誤りでないか確認したり、さらに良い薬や剤形を提案したりする。
この場面が薬剤師の職能が発揮されるべきだと思うが、仕事を果たしたということで点数(病院や薬局が貰っているお金の一部)が加算される。医療費は3割負担等であるので、当然、患者にも負担が発生している。
あるべき医療が患者に提供されるという点で患者にはベネフィットがあり、納得感がある程度は得られるかと思う。
救急での薬剤師
現在の一般的な病院ではどうかは分からないが、当時私がいた病院では、救急医療に薬剤師がどうやって関与しようかという段階だったと思う。
救急に対応する薬剤師は当番制で決められ、私も救急の患者に処方される薬を確認する機会があった。
その日、救急の処方に対応していたのは私一人だった。
どこかで事故等があり、重体の患者が病院に運ばれてきた。患部の写真も撮っており容態は悪そうだ。カルテに記載されている内容から、もう永くない(治療ができない)ということもうかがえる。
きっと救急車が来るという連絡を受けて、すぐに処方できるようにしていたんだと思う。
ガスター静注。
薬剤師の人たちなら投与予定の患者のeGFRで問題ない投与量が確認するはず。
私も確認し、多いことが分かった。
そして薬剤師として疑義照会し、投与量も減量してもらった。
救急の現場では、それが単純に腎機能に直結するわけではないし、一回の投与でどうこうって考えるよりまずは患者に投与すべきということは分かっていた。何より、永くない患者に投与されないことも分かっていたが、保守的というか、保身のために確認してしまったことを強く覚えている。
仕事のバリュー
個人的に問題と考えているのはここから。
疑義紹介の点数を取るかどうかである。
私は照会しているものの、点数は取らなかった。投与量を変更しても投与されることはなかったからで、倫理観というものが私をそう動かした。
だが、後ほどそれを確認した上司が、「なぜ取らないのか」と詰め寄った。
私は謝ることしかできなかったが、未だに取らなかったことは間違いではなかったと思っている。
もちろん考え方の違いはあると思うが、提供するサービスに応じて対価をもらうべきであり、その時のサービス(疑義照会)は、患者にとってどうでも良いことだったと思う。
私はバリューを提供できなかった。
その時に、もっと胸を張ってお金をもらえるようになろうと誓った。
私が会計士を目指した背景になっているかもしれない。
修了考査、その後
ご無沙汰しています。
前回の修了考査で合格していて、今は公認会計士にも登録された。単純計算で短答お試し受験から7年か。長かった。。。
今回は、修了考査と今の状況を書く。だらだらと。
修了考査
もう一年も前になる。。1番の問題はモチベーションの維持ではないだろうか。
弊法人では合計10日間の試験休暇(有給は減らない)を取得でき、さらに有給を5日間は確保できた。
事業会社勤務の人からすると、かなり恵まれていると思う。
それでもモチベーションが維持できない。短答、論文の時のような燃える闘志は無い。
8月から少しずつやろうと参考書見て理解してとしても、あまり覚えが良くなかった(それが自分で分かる)。
周りは、「まぁあなたなら大丈夫でしょ」みたいな雰囲気出してくるから、プレッシャーはあるし、精神衛生的に良くなかった。悪いお酒の飲み方もしたと思う。
近年、これまでの修了考査から少し変わり、受験者の実力を試すあるべき姿に変わったと思う。これまでは誰しも解けない問題が多く出題され、正規分布ではなく団子のような状態だったと推察される。
これから受ける人は自分の特性を良く把握し、考査直前のダッシュだけで通過できるかどうかよく考えて欲しい。
ちなみに私の結果は以下のとおり。ギリギリだった笑
会計はそれなりに解けたと思ったが、枠外に記載したのが悪かった?(試験の注意事項にそう書いてあったが無視して書いた)
修了考査のその後
甘噛みしてしていたクライアントのインチャージ(現場責任者的な人)が退職することになり、私が次のインチャージに指名された。
12月決算の1Qから。
チームのマネージャーも有能な方だったが、法人のルール的なことには流石に疎く、本当に大変だった。まずは1年を通じて何があるのか把握し、とりあえず1Qでやらなけばいけないことを進める。本当にあんまりそのクライアントに関与していなかったので、「メールで見るこの人の職階は?」、「誰に交渉したら良い?」と手探りの状態で会社にも迷惑をかけてしまった。
それでもどうにか1Qを乗り切り、さらにインチャージとして1社追加されて、今に至る。まぁ四半期は一回経験すれば慣れも出てきてストレスは少なくなってくる。
さぁ、これから。
私は来年の8月には法人を去る予定だ。母の介護も重なり、自分の人生を見つめ直した結果だ。
これから来年の8月まで、税務を中心に能力を上げてやる。
これを読んでくださってる方たちと一緒に働くことを心待ちにしている。
覚悟①
久しぶりにブログを書こうと思う。
33歳になったオッサンが最近監査法人で感じることを書く。といっても、修了考査の合間の息抜き程度だが。
これは社会人になってから僕が経験してきたことなので、医療人にもできれば読んでほしい。
(僕自身に対する戒めの目的でもあります。不快に感じる方がいたら申し訳ありません。)
会計士の卵たち
私の監査法人では、クライアントに対する資料依頼や修正依頼はQAシートというエクセルで行う。
コロナ禍なので仕方がないのかもしれないが、あまりに無機質だ。クライアント側が資料依頼や指摘に関してどのように感じているのか直接感じることはできない。
また、会計士として外部に開示する資料の間違いを指摘しないといけないとき、インチャージという責任者(チームのリーダーみたいな存在)を経由していることが多い。
何が言いたいか分かるだろうか。
スタッフが考えたことは一旦インチャージが再度確認するという図式が成り立っており、スタッフが決断することはほとんど無いように思う。
もちろんチームによっても個人によっても差があるかと思うが、リスクを背負っているスタッフがどれだけいるのだろうか。
オッサンとしては、すごい違和感がある。
社会人なりたての頃の経験をちょっと聞いてほしい。
今になって思うと、僕が人生に対して腹をくくることができた瞬間だと思う。
小さな女性の覚悟
社会人なりたての時に、といっても浪人して6年制薬学部を卒業した後なので、25歳の時に病院薬剤師としての第一歩を踏み出した時のことだ。
僕が所属していた病院の薬剤部は、希望業務を決める一環として、緩和ケアチームやNSTチーム、抗がん剤チームを体験する機会が与えられる。
どのチームも病院には欠かせないが、僕は緩和ケアチームの時に感銘を受けた。
緩和ケアとは、「どのように苦痛を感じずに最期を迎えることができるか」ということを主眼にした仕事だと思う。
つまり、対象とする患者さんは最期を考える必要がある人だ。
体験で回った病棟は外科の病棟。
20歳くらいの看護師さんだったと思う。
緩和ケアチームが回ってきた時に、あるターミナルの患者さんのことを話し始めた。
患者さんは30代半ば。大腸がんだったと思う。働き盛りで子供も小さい。まだまだ生きたいと考えているということが伺えた。
対して看護師さんはまだ20歳くらい。職業人として患者さんを担当することは重荷だったのではないか。失礼かもしれないが、僕の人生を鑑みるとそうだ。
彼女は泣きながら言う。
「私なりに懸命に尽くしましたが、どうしたら良いのでしょうか。子供がかわいいというあの人になんて声をかけて良いのか分かりません。痛みだけでも取ってあげてください」
体験ってだけあって、僕は何となく薬剤師を名乗っていただけだ。
医療人と言えるものではない。どうにか力になろうとしていた彼女には足元にも及ばない。
その時に僕も覚悟を持とうと思った。薬剤師として医療に参加したいと思った。人の役に立ちたいと思った。
足りないもの
あれから、もう10年近く経っているが未だに思い出す。彼女に教わった、きっと一番僕に足りないものだ。
覚悟。
自分の仕事に責任を取るという覚悟。
さて、長くなったが、今の監査法人のスタッフレベルの人でもそのような覚悟があるだろうか。
彼女のように涙を流せるほど自分のことと考えられているだろうか。
老害かもしれないオッサンの戯言だが、もしも心当たりがあったら行動を改めてほしい。
独学での合格⑦
修了考査が終わったらしいが、今年も合格率が低いのだろうか。私は来年受けるのでどうかどうか厳しくしないでほしい。。。
こういった試験は1発で受からないと精神的にしんどい。
今回は「参考書が実務よりになる」というメリットについて深堀りしていきたい。予備校組がどうなのか分からないが、これは意外に強みに感じている部分でもある。
監査基準や会計基準が参考書になる
独学していると解説の部分で(監査基準委員会報告書240「財務諸表監査における不正」第23条)と、まるで「参照しろ」と言わんばかりに記載していることがある。はじめは良くわからず「とりあえず参考書と問題集を覚えたら大丈夫でしょ」みたいな感じで無視して勉強していたが、まぁ応用問題が正答できない。
おそらく、そういった基準全体の流れを知らず、かいつまむように学習していた結果だと思う。同じ内容でも違う角度で問題を出されたらよく間違えていたのを覚えている。
伝わらないかもしれないが、「監査論とか財務会計論とか、当然のことを言ってるだけやん。合理的じゃないと文句とか出るはずやし。ラクショーラクショー。」とか調子に乗っていた。
だが現実はそう甘くない。
はじめは計算問題が苦手だったのだが、どんどん理論問題よりも点が取れるようになってきた。
でも理論の成績が上がらない。
分かるはずなのに解けない。
うーん、と考えていくうちに、解説の「監査基準委員会報告書」という言葉と向き合い、スマホで調べてみると。。。。
なんじゃこりゃー!!
そこで初めて基準(会計とか監査の法律みたいなものだと思う。)を知った。あー、きっとこれを読み込まないと勝てないなと思って、それからは結構読んだ。指針までは読めなかったが、会計基準は5~6回読んだのではないだろうか。
それから当直中も読んで、短答合格、論文合格できるレベルまで上げられた。
遠回りだったかもしれない。。。。
実務で結構基準を見る
では実務でどれだけ見るかが問題となるが、結構なレベルで見ると思う。
例えば、会社が行った処理に違和感がある場合、それを調べて監査調書に残す作業が発生する。
私は過去の人が書いた調書も納得できない箇所があったら、その都度調べるし、結構見ている方だと思う。
Googleでうまく検索すると、調べたいことを調べられるかもしれないが、同僚はあまりうまくないらしい。
「受験生の時にこんな解き方しなかった」としきりに言ってくる。
また、経理部の方と話し合う時も私たちの法律たる基準に基づかないと、論理的な会話ができないと思う。
基準を受験生時代からみていると、だらだら書いている(ように見える)基準に拒否反応は起こらない。むしろ懐かしいとも感じている。
改めて言うが、あくまで私の周りの少ないサンプルをもとに書いている。予備校組全体としてどうなのかは分からない。でも少なくとも独学で学習していた私は、基準をベースにできていると思っている。
独学での合格⑥
コロナが再燃してきた。薬剤師だった者としては、やはりワクチンの存在が気になる。どこが1番乗りするのだろうか。やはりファイザー?そうであってほしいが、日本発のアンジェスであってほしい気もする。。。
早く落ち着いて、気にせずご飯を食べに行きたい。
今回は独学で勉強するメリットの一つである「自分の好きなように学習を進められる」という点について深堀したい。
私は薬剤師国家試験でも思い切った勉強法をしていたなと思う。
どうやって総合で合格点を取るか
公認会計士試験は1科目40点を下回らなければ、どのような点数比で合格点を取っても問題ない。つまり、苦手科目はそのままで、得意科目を伸ばせば良いのである。(財務会計論は負けないようにしないといけないが。。。)苦手科目を得意にするのは時間がかかる。
ここで選択ができる。
暗記が得意か?計算が得意か?
短答式を前提とすると、暗記が得意であれば監査論や企業法、計算が得意であれば管理会計論を伸ばす、といったところか。どうあれ財務会計論は得意か普通のレベルにしたい。
私は理系大学卒業だし計算が得意だったが、管理会計論や連結がどうしても点が取れず、監査論、企業法を伸ばそうと決めていた。
短答式ではまずまずだったが、論文式ではどちらも活躍してくれた。
あなたはどの科目が得意だろうか?
どうやって各科目で目標の点数を取るか
得意・不得意の科目が何となく自分の中で決まれば、あとはそれぞれどうやって目標点を超えるか考えるか。
もちろん全ての科目に全力を出すが、だからと言って全て高得点を取れるわけではない。
ここでまた選択が発生する。
どこの分野に力を入れるか?もしくは捨てるか?
例えば私は明らかに連結に力を入れなかった。努力が点数に比例しない分野だと思ったからだ。独学はこのような選択も必要になってくると思う。
どうやって学習時間を割り振るか
私は1日1日の学習時間の割り振りも非常に大切だと思っている。
例えば、集中しにくい時間帯(私であればお昼過ぎ)に何を勉強しているだろうか。私は絶対に暗記科目を持ってこなかった。
そんな時間帯に暗記はできにくいからだ。
私はそんなときは計算科目をしていた。管理会計論を自分の頭で深く考える。どの方法で計算するのが早いのか、解説で書いている答えは本当に理論上間違っていないか。自分から積極的に考えるから集中しづらいかどうか関係ない。
また、「飽きる」ことにも対応してあげてほしい。
もう2時間も3時間も同じ科目勉強していると飽きるだろうと思う。それは根性とかそういうので乗り越えるのではなく、自分の声を聞いてあげてほしい。
自由だからこそあなたなりの学習方法で
独学は自分で学習方法を決められる。
今回は私が行った方法を何となく書いたが、それは正解ではない可能性が高い。もちろん本屋さんで購入できる勉強本も正解でないと思う。
現在までの学習経験が違うだろうし、性格も異なる。
正しい学習方法は自分で考えるべきだ。
もしかしたらその日毎に正解の学習方法は異なるかもしれないが、それほど自分のことが分かると後の人生にプラスに働いてくれる。
終わりなき旅ということか。
独学での合格⑤
私は論文合格が決まって1年後に監査法人への転職活動を開始したので、受かっているかどうか不安になることはなかった。現在監査法人の説明会等に参加している人たちは精神的に負担が大きいと思うが、もうひと踏ん張りしてほしい。
きっと私たちが人生を考える機会は少ない。しっかり考えて満足いく社会人生活を送れるように願っている。
さて、今回は独学で合格することで感じたメリット「移動時間がかからない」という点をさらに深堀りしたい。
受験生時代は鬼気迫るものがあったのかなと思う。
とにかく時間がない
私にとって、会計士試験が社会人として挑んだ最初で最後の試験である。その際感じたのは時間を捻出することが非常に困難であるという事だ。
中途半端な努力で合格できる試験ではないなと初回の短答式試験で感じたので、とにかく隙を見つけて学習したのが懐かしい。
病院薬剤師として当直している際、いつ電話がかかってくるか分からないPHSを前に電卓を叩いたり基準を何度も頭の中で反芻していたこともあった。どうやって定時に帰れるか必死に仕事をこなしたりもしていた。
私はお酒も好きだが、飲み会も必要最低限とした。
当然と言われるかもしれないが、何年も継続できたのは、少し誇れることなのかもしれない。
こんな状態で単純な「移動」に時間を潰しても良いのか?
答えはもちろん NO だ。
電車の中で勉強している気になっていないか
電車の中で勉強できるから問題ないという考えもあるかもしれないが、私はそれを否定したい。
何をどうやって勉強するのか?果たしてそれは集中して行っているか?翌日には思い出せるか?
例えば本を広げて学習するとして、本当に記憶できているだろうか。隣の人に気を取られていないだろうか。降りる駅を気にしていないだろうか。(絶対いつ降りるか気にしていると思うが、部屋で集中しているときはそんなこと考えていないだろう。)
そうだとしたら、本当にもったいない時間だと思う。
私は製薬メーカーに転職し電車通勤になったが、その時は新しいことを覚えることを諦め、昨日行ったことをひたすら反芻することに注力した。
余った時間は監査基準前文の暗記だ。目を閉じてただただ思い出す。
やはりできれば作り出したくない時間と思う。
座って学習できる時間の尊さ
以前のブログでも書いたが、私は座って学習する時間が多くなかったので、非常に厳選してどの科目を学習するか決めていた。
直前期はすべてを3日間にぶつけるため、満遍なく思い出そうと座っての学習は他の科目も行ったが、それまでは本当に選んでいた。
正直あれよりも座って学習する時間が減っていたら合格は難しかったと思う。というか予備校にお金を払っていたとしても行かなかったと思う。
これから学習を始めようとする人はそれくらい社会人の受験は時間を捻出する必要があることを覚えておいてほしい。
独学での合格④
会計士試験が終わり、監査法人のリクルートが本格化してきた。もしかしたらこのブログを見てくれている人と一緒に働くかもしれないと思うと、ワクワクする。。。わけではない。
お互い頑張ろうとは思うが、それ以上でもそれ以下でもない。
冷たいのだろうか笑
今回は「周りに受験仲間がいない」ことについて違う側面について考えたい。
一つ前のブログではモチベーションの観点から別に問題ないと論じたが、周りに聞くと結構良いこともあるらしい。
戦友と羅針盤になり合える
私の友人の話では、受験仲間とファミレスに行って答練や模試を解いていたそうだ。これは二つの意味で重要だと思う。
一つは試験に近い緊迫感を持てること。二つ目は終わった後に教え合えるので、双方理解が深まる。
私は高校でも大学でも誰かと一緒に勉強するというのが好きではなかったのだが、この二つに関しては資格試験では大きなメリットだと思う。
一人で戦うということ
私は合格まで本当に一人で勉強していた。もちろん分からないことを「分からない」と聞くこともできなかった。
地方の人間が戦うのはそういうことだ。
私は偶然職場の知り合いが会計士試験合格者ということで、試験そのものについて何かと相談させていただいたが、多くの地方受験者はそのような繋がりは持ちにくいのではないだろうか。
ここの部分だけは努力だけではどうしようもない。
でも、そんなことのためだけに何十万も払うのはアホらしい。
(もちろん予備校は教材やバックアップも含めての代金を請求しているのは理解しているが)
そこで考えたのが、もしも、独学ができる人間が受験仲間を作ることができるコミュニティがあれば、最高なのではないかと。そこでは予備校に属していない人たちがお互いを高め合い、なんならマインドフルネス等の時間を取って学習効率を高める機会を作るのだ。
講義そのものはないが、分からないところを解消してくれる仲間や講師のような人がいれば何も怖くない。
皆さんはどう思うだろうか?
もしも良ければ、はてなブログのコメントやツイッター等で賛否を教えてほしい。
必要と声を上げてくれるひとが相当数有れば、行動に移したいと思う。
独学での合格③
だんだん寒くなってたので、そろそろコタツを出そうか迷っているが皆さんはどうだろうか。(今回から文体を変えました)
さて、今回はデメリットの一つである、「周りに受験仲間がいない」ことについて深掘りしたい。
。。ブログのために受験時代を思い出すと、仲間がいるって良いなぁと思う。。笑
学習計画なんて無い
私は理系の学部出身で、全く受験仲間がおらず、どのようなペースで成長していけば良いのか指針がないまま勉強を続けていた。強いて言えば、過去問(ゴール)と自分の実力(現在地)の差を試験までに埋めることを目標に、できれば1日3時間は勉強したいなーとコツコツ積み上げていっていた。
なんのことはない。高校や大学の試験期間中に行っていたことを少し長いスパンで再現していただけなのである。
モチベーションを保てない。。のか?
監査法人にて、例えば仕掛品を「しかけひん」と読むと、決まって笑われ独学で合格したことを言う機会が出てくる。
その時に言われるのが「一人でどうやってモチベーションを保っていたのか?」ということだ。言い換えると「よく諦めなかったな」ということを驚きと共に投げかけられる。
正直、自分にとって実現したい将来があれば、諦めるという選択肢は無いだろうと思っている。公認会計士というピースが必ず必要だから逃げるわけにはいかない。
やや極論だろうが、なんとなく勉強を始める人達がモチベーションが低下したり、撤退しようとするのでは無いかと思う。
なぜ公認会計士を目指すのか
私は大学入試を通じて目標を持つことがどれだけ重要なことか分かっているので、家庭教師をさせていただく際には必ずどんな大学に行ってどんな将来を描きたいのかとことん考えてもらうようにしていた。(私は大学時代は高校3年生ばかり家庭教師をしていた。)受け持つ当初、彼らの偏差値は驚くような数値を叩き出していたが、それぞれ誰もが知っている大学に合格してくれた。今でもこのブログを書いている私よりも本来的な頭の良さは優れていたんだろうなと思う。
目標がどれだけ力を与えてくれるか。
それが不安になったり投げ出したくなる時の支えになってくれる。
というより、直前期を除きそんな感情にすらならないような気がする。もちろん個人差はあるが、どうやって受かるかということしか考えてないからだ。
このブログを見てくれている方たちも、なんとなく合格を目指していないだろうか。
他人には歩めない自分の人生をお互いしっかり考えたい。